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環境の村エコセミナーは、地域のこと、環境のこと、少し気にかける勉強会。北海道の自然環境やアイヌ文化、エネルギー資源から、地域社会やコミュニティデザインなど、さまざまな視点から環境教育を考えてみます。

2012

環境の村エコセミナー2012

北海道の生き物と暮らし」

日本の中でも身近に野生動物を感じられる北海道で、野生動物の正しい生態や特徴を学ぶことで、自然と共生できる北海道の暮らしを考えるきっかけとしました。

★第2回「昆虫と北海道の環境」

 

日 程:2012/11/6(火)

​場 所:札幌市エルプラザ 2階 環境会議室

ゲスト:原内 裕さん(北海道トンボ研究会理事・酪農学園非常勤講師)

昆虫、というと苦手な人も多いかもしれません。気持ち悪いと敬遠されがちですが、昆虫たちのミクロの世界はとても奥が深く、また私たちの身近に存在しています。

虫の生態や子どもたちの好き嫌い、そして昆虫たちにどんな問題が起きているのかという話から、北海道の現状やこれからのことを考えていきます。今回のお話は昆虫ワールドたっぷりです。

 

​ゲストに酪農学園大学非常勤講師の原内裕さんにお越しいただき、「昆虫と北海道の環境」をテーマにお話ししていただきました。原内さんは長い間生き物や昆虫の調査をされていて、よく山の中に入ってさまざまな活動をしています。

 

 

生物種の75%は、昆虫!

世界中には、数百万種類の生物種が生息していますが、そのうちの75%は昆虫です。4分の3が昆虫だと思えば、とても多い数ですね。北海道に生息しているのは9千8百4種。約1万種もの昆虫が生息しています。世界中を見渡しても北海道にしか生息していない昆虫は801種もいるのです。

どうしてこんなに数が多いのかといえば、ほとんどの昆虫は小さく多様なので、それだけ様々な環境に適応する能力が高いのが特徴です。人間や動物が住めないような所にも暮らしている昆虫がいます。

また、いろんなものを食べる。人間にとっては毒があるもの、カビなどの菌類を食べたり、吸血や寄生をして栄養を得るものがいます。他にも、羽が生えていたり、完全変態なども大きなアドバーンテージになっています。

昆虫の元となるものが出現してきたのは今から4億年以上も昔。それから人間が出てくるずっと前に今の昆虫の原型がほぼ分化していたと言われています。昆虫の化石から、メガネウラという名のトンボが見つかっています。このトンボは体長70センチ。かなり巨大な昆虫がいた歴史がありました。体長70センチ、すこし気持ち悪いでしょうか。

 

 

子どもたちの昆虫アンケート

小さいころ、遊びといえば虫を捕まえたり観察したりして遊びます。では今の子どもたちは昆虫をどう見ているのか。小学生自身が自分で調べたアンケートを紹介していただきました。

そのアンケートによると、昆虫のことが好きと答えた回答が大半で、カブトムシやクワガタ、チョウチョなどが人気の昆虫のようです。「かっこいい」「かわいい」「強い」という意見が目立ちます。女の子も虫に関心が強いようです。反対に嫌いな虫は蜂、カメムシ、蛾、ゴキブリなど。このあたりは大人にとっても同じだと思います。嫌いな理由は「刺されるから」「触れないから」。このことを踏まえて、自然キャンプなどでの正しい知識と体験を与えてあげれば、子どもと昆虫の距離が近くなるかもしれません。

 

 

昆虫との付き合い方

特徴的でおもしろい昆虫の生態を、原内さんにいくつか紹介していただきました。珍しい形や模様、名前のつき方など、見たことのない昆虫ばかりです。なかには、交尾をするときにオスがメスにプレゼントをして、メスがそれを食べてから交尾をする習性のものもいます。昆虫の世界のおもしろさや不思議さをお話しいただきました。

嫌いな昆虫の上位に入るカメムシも、種類によってはいい匂い、青リンゴの香りを出す個体もいます。そんなカメムシなら歓迎ですが、そういう種類は家の中に入ってこないのが普通です。

ハチは近づくと刺される、危ない昆虫という認識があり、そのためにハチの生息域に人間が入っていくといろいろな軋轢が生じ、ハチにとっても悪い影響を及ぼしています。必要以上に怖がったり、駆除で個体数を減らしたりすると、森の中の連鎖を崩してしまう可能性もあります。すぐに人を襲うということはなく、正しい距離感や付き合い方を保っていく関係性と知識が必要だということです。

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昆虫の生態や数の多さ、いろいろな個体を調べていくなかで、子どもたちにどうやってそれを見せていくのか、ということが重要だと気づきました。子どもたちが「嫌い」とか「怖い」っていうレベルを越えて、理解する方に踏み込んでいったときに、違うことが将来起きてくるんだろうなという気がしています。

虫を観察するときも、花を見るときも、花だけ見るんじゃなくて、虫だけ見るんじゃなくて、両方のつながりを見ると面白いんです。

 

主催:北海道

企画・運営:NPO法人 当別エコロジカルコミュニティー

後援:(公財)北海道環境財団  協力:(財)札幌市女性財団

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