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 人間が地球に住むようになる遥か昔から、森に住む野生の生き物を宿主としていたウイルスが昨年の冬頃から人間に移り住むようになり、人から人へと、あれよあれよという間に世界中に広がりパンデミックを引き起こして半年以上が経ちました。このウイルス、今までの治療薬では人の感染を抑えることができず、多くの人が亡くなっています。早く元の森に戻って欲しいと願うばかりです。

 治療薬や安全なワクチンの開発が世界中で進められていますが、完成するまでの間、私たちは物理的にウイルスから遠ざかった暮らし方をするしかありません。TECでも多くのプログラムを予定していましたが、感染のリスクを抱えながら、心からプログラムに没頭できない状況が有る限り、人と人との接触を伴うプログラムは全て中止することにしました。研修も全てオンラインで行うことにして、COVID-19が収束するまで対面でのプログラムや研修はお預けにしました。

 

 そんな中でも、道民の森に宿泊学習としてやって来る小学校5年生の「ワンダースクールプログラム」に限り、学校での健康管理が毎日おこなわれていて、3蜜になりにくい野外でのプログラムのみ、小グループに分けて提供することにしました。3月にCOVID-19パンデミックが始まり、北海道では全国に先駆けて一斉に学校が休校となり、そのまま6月末までの約4ヶ月にわたって子どもたちは家で過ごすことになりました。そして学校が再開されて感染対策をしながらの勉強という学校中が渦に巻き込まれたような日々の中での宿泊学習だと思います。先生や子どもたちのサポートとなるようなプログラムを今まで開発して来ましたが、今年は感染対策を優先し、最低限のプログラムになりましたが、子どもたちの心身の状態、学びの内容よりも学び方を学ぶ内容になっています。詳しくは「ワンダースクールプログラムマニュアル」(クリックしていただけると概要とダウンロードのページに移動します。)をご覧いただけると、今年のプログラムの目的や特徴を説明しています。一緒にプログラムを作って行ければと思います。

 

 また、宿泊学習は私どものワンダースクールプログラムだけではありません。学校での日常と違う場面もあり、感染対策に苦慮されていることも聞いています。そこで、学校を出発してから帰るまでの場面における感染リスク要因を書き出し、TECで行っている対策は詳しく紹介していますその他についてはご確認ください。また、学校で子どもたちと一緒にリスクを確認し、対策を一緒に考えると子どもたちも主体的に宿泊学習に関わることができるかと思います。「道民の森での宿泊学習におけるリスク分析一覧表」(クリックしていただけると概要とダウンロードのページに移動します。)

 

 宿泊学習は小学校に通う6年間で1回、自然の中で過ごす貴重な機会です。できれば2泊か3泊してほしいのですが、北海道では残念ながら1泊2日でおこなわれています。自然の中で過ごす宿泊学習では、自然の中でセンス・オブ・ワンダーを大切にしてほしいと、TECでは2003年に道民の森でのプログラム提供が始まった時から、「ワンダースクール」と名づけ、五感を使った体験を大切にして来ました。その時に学ぶのは、「何か」ではなく、「多様性」や「循環」と言った大きな概念を理解することを大切にしています。しかし、今回のCOVID-19パンデミックでは、感染の収束とその後の社会に飛び立つ5年生にとって、「思いやり」が大きなテーマになると思っています。TECの感染防止も、自分が感染しないために人を遠ざけるのではなく、自分が感染していると想定しての行動が誰にも感染させないと言われていることから、その行動原理は「思いやり」です。そして、このことは人のことを大切にするという人権感覚でもあり、そのために、自分自身を理解していることが欠かせません。COVID-19で生活が一変し、それまでと違うストレスの中で暮らしている子どもたちに、自然の中で自分を取り戻し、人への思いやりについて考えてほしいと思っています。今年の様々なTECの道民の森での宿泊学習について、COVID-19パンデミックと道民の森の宿泊学習とTECの取り組みというページで、これからの宿泊学習のアイディアも書いてゆきたいと考えています。

 この6ヶ月におよぶCOVID-19との関わりで少しづつわかって来たこともあります。どうもこのウイルスは3蜜が起こらない屋外では感染リスクが低いようです。「もっと 緑を!」屋外で過ごす時間を多くすればリスクを減らすことができそうです。遠くに出かけることはありません。家の庭や近くの空き地や公園でいいのです。感染の心配がない家族や親しい仲間という安全な空間を作って野外で過ごしましょう。そして、自然の中で体を動かして体力をつけ、ストレスを軽減して免疫系を活性することでウイルスに悪さをさせないようにしましょう。

 この自然の中で暮らすということは学校でも応用できます。感染リスクの高い屋内での授業を野外で行うのです。欧米では盛んに野外で授業のアイディアが話し合われています。そんな事例をご紹介する「野外で授業」というコーナーを作りました。をクリックしてください。

 最後に、このロックダウンによって、地球の環境に良いことが起こったと報告されました。大気汚染や海洋汚染が緩和され、人間の行動を変えることで温暖化の進行を食い止めることができるんだとわかりました。また、このCOVID-19は本来ウイルスが暮らしていた自然が破壊されたことで、人の住むエリアに進出してきたようです。ウイルスも含めて多様な生物が本来暮らしていた地で暮らせる環境をもう一度戻していくことも必要なようです。

​ もうしばらく、感染防止を徹底して、このウイルスが人間以外の自然に戻ってゆくまで、思いやりを持って世界中の人たちと連帯し、ウイルスを収束させる必要があります。差別や分断をしていてはCOVID-19の収束も地球環境問題も解決の見通しはありません。このCOVID-19の渦中だからこそ、Think Globally Act Communityで、安全な空間で行動し、世界中の人たちとオンラインで今まで以上につながりましょう。そして、安全になったとき、皆さんと自然の中でお会いしましょう。それまでの間、TECではいろいろな情報を提供して行きたいと思っています。それまで、COVID-19とは物理的に距離を取り続けましょう。決して気を許さず、慎重に毎日を過ごしましょう。

NPO法人 当別エコロジカルコミュニティー

​代表 山本幹彦

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